心に刻まれる優しさ『エレファント・マン』

🎦今日の「愛の抜けた映画ブログ」の映画録は、1980年に公開された映画『エレファント・マン』の当時の劇場鑑賞や、配信先動画視聴からの感想・考察を投稿しています。

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【エレファント・マン：どんな作品？】

作品タイトル名：『エレファント・マン』（The Elephant Man）
作品公開年など：1980年制作のイギリス・アメリカ合作映画です。日本での公開は1981年。19世紀のイギリスで「エレファント・マン」と呼ばれた青年ジョゼフ・メリックの半生を描く。デヴィッド・リンチ監督、脚本。メル・ブルックスがプロデューサーとして参加しています。

内容：実在したプロテウス症候群の青年の喜びと絶望を繊細に描き出す。『イレイザーヘッド』でカルト的な人気を得ていた若きデイヴィッド・リンチ監督の名を世界に轟かせた名作。

【エレファント・マン：あらすじ】

19世紀のロンドンでのこと。外科医師のフレデリック・トリーヴズ（アンソニー・ホプキンス）は見世物小屋でエレファント・マンと呼ばれる青年ジョン・メリック（ジョン・ハート）と出会います。メリックの姿に衝撃を受けたトリーヴズは、彼を研究対象として預かることに。肥大した頭蓋骨は額から突き出、体のあちこちに腫瘍もあり、歪んだ唇からは明瞭な発音もできず、杖がないと歩行も困難という悲惨な状態でした。当初は怯えていたメリックでした。しかし、フレデリックは次第にジョンを観察するうち、彼は知能にも遅れがないこと、さらに芸術を愛する美しい心の持ち主だということに気付くのです…

【エレファント・マン：主なキャスト】

〔出演〕

ジョン・メリック：ジョン・ハート
フレデリック・トリーヴス：アンソニー・ホプキンス
ケンドール夫人：アン・バンクロフト
カー・ゴム：ジョン・ギールグッド
寮母：ウェンディ・ヒラー
バイツ：フレディ・ジョーンズ
夜警：マイケル・エルフィック
トリーヴス夫人：ハンナ・ゴードン
アレクサンドラ妃：ヘレン・ライアン
フォックス：ジョン・スタンディング
バイツの少年：デクスター・フレッチャー
ノーラ：レスリー・ダンロップ
メリックの母：フィービー・ニコルズ
アルダーマン：フレデリック・トレヴェス
レディ・ウォディントン：キャスリーン・バイロン
ウォディントン卿：ジェラルド・ケイス
小人：ケニー・ベイカー

デヴィッド・リンチ監督自ら監修『エレファント・マン　4K修復版』予告編

シネマトゥデイ

★『エレファント・マン』・otacyanのメローな感想・考察など

人間の心の美醜が対比的に描かれていた変形した顔を持つメリックを演じたジョン・ハートの純粋で清らかな姿、そして彼と信頼を築いていく医師役のアンソニー・ホプキンスの名演は、心に残ります。

『イレイザーヘッド』でカルト的な人気を得ていた若きデイヴィッド・リンチ監督の名を世界に轟かせた名作。実在したプロテウス症候群の青年の喜びと絶望を繊細に描いています。

本作品、モノクロということもあってか、どこか不気味な感もあり、さりとてどこか美しい雰囲気の対比があってとても良かった。市民達や興行師たちがジョンを物としてか見ない、見せ物にする一方、病院や上流の人々は彼を人として扱う。しかし、この単純な善と悪の対比だけでは終わらないところが、がデイヴィッド・リンチ監督らしいと感じます。

見世物小屋でも学会でも彼の扱われ方は変わりもないし、上流の人達も流行に乗るように見ているだけです。これらの偽善の根っこにあるのは、ただの好奇の視線であり、それは興行師や市民と何も変わりません。しかし、そんな世界だからこそ、そこに生まれてきた友情や優しさや純心さのかけらでも美しさが際立って見えます。その美しさを心からから焦がれていたジョンは、最後にそれをたくさん感じ、人として眠りにつけたのだと思います。

ほんとに色々なことを感じる作品だと思います。私が成人した頃、初見鑑賞して今でも心にのこる作品です。これから未来を担っていく若者に観て欲しい作品の一つ。