🎦今日の「愛の抜けた映画ブログ」の鑑賞録は、2006年に公開されたアメリカの戦争映画『硫黄島からの手紙』の当時の劇場鑑賞からの回顧や、配信先動画視聴からの感想・考察を投稿しています。
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【硫黄島からの手紙:どんな作品?】
『硫黄島からの手紙』は、2006年のアメリカ合衆国の戦争映画です。クリント・イーストウッドが監督を務め、渡辺謙さんと二宮和也さんが主演を務めています。太平洋戦争最大の激戦地・硫黄島の戦いを日本兵の視点から描いて、同じ戦いをアメリカ側の視点から描いたイーストウッドの『父親たちの星条旗』の姉妹作であり、2つの映画は続けて撮影されました。
作品の元になっているのは、劇中の栗林忠道陸軍中将の家族への手紙は、後世に編まれた『「玉砕総指揮官」の絵手紙』(吉田津由子編、小学館文庫)注1)に基づいています。
日本では2006年12月9日に公開、アメリカでは2006年12月20日に限定公開。関係者や批評家・記者向けの試写の評価も良く、2007年1月12日にアメリカ国内のより多くの地域で拡大公開され、1月19日にはほとんどの州で公開されました。
全世界における配給はワーナー・ブラザース。日本では、2006年10月28日に公開された『父親たちの星条旗』に続き、同年12月9日より劇場公開がスタートしています。また、この措置により『父親たちの星条旗』と共に第79回アカデミー賞の対象作となり、作品賞・監督賞・脚本賞・音響編集賞にノミネートされ、音響編集賞を受賞しました。
参考:注1)栗林忠道 (2002-03-06) (日本語). 「玉砕総指揮官」の絵手紙. 吉田津由子編、枝川公一解説 (文庫 ed.). 東京都: 小学館. pp. 256ページ. ISBN 4-09-402676-2
【硫黄島からの手紙:あらすじ】
1944年6月。帝国陸軍中将の栗林忠道が、太平洋戦争の戦況も悪化の一途をたどる本土防衛の最後の砦と化した硫黄島に降り立ちます。栗林中将はアメリカ留学経験があり、アメリカの友人もいるほどアメリカの状況には精通していました。硫黄島に着任した彼は、長年の水際での防衛線で戦うという場当たり的な作戦を変更し、部下に対する理不尽な体罰も戒めるのです。パン屋出身で今の硫黄島戦線で絶望を感じていた陸軍一等兵西郷(二宮和也)は、希望を抱き始めますが…。
【硫黄島からの手紙:主なキャスト】
〔出演〕
栗林忠道中将:渡辺謙
陸軍一等兵西郷昇:二宮和也
戦車第26連隊長西竹一中佐:伊原剛志
陸軍上等兵清水:加瀬亮
野崎陸軍一等兵:松崎悠希
海軍伊藤大尉:中村獅童
西郷の妻・花子:nae
ルーク・エバール
アメリカ陸軍将校:マーク・モーゼス
その妻:ロクサーヌ・ハート
大久保陸軍中尉:尾崎英二郎
★『硫黄島からの手紙』otacyanのメローな感想・考察など
太平洋戦争激戦地、アメリカと日本の硫黄島での戦いを扱った、本作『硫黄島からの手紙』では、戦況悪化の一途を辿っていく状況を、渡辺謙、二宮和也、加瀬亮ら日本人俳優が競演。中でも二宮和也のさんの演技が秀逸で当時、大変な話題を集めました。普通のパン屋から激戦地に送り込まれた男の絶望感、恐怖、怒りを等身大で表現しているのが、大きなみどころの一つとなります。実際、本作は、二宮和也さんが初めて俳優としてデビューする転換期となった作品にもなります。
出演の個々の演技が素晴らしいばかりでなく、イーストウッド監督らしい演出が演技とあいまって、戦地で戦う一兵卒にまでふりかかる戦争の哀しさ、言葉にできない悲惨さが、淡々とリアルに描写されています。劇場で初見の時、私が驚いたのは、ハリウッドが製作の作品ということもあり、アメリカが勝つという英雄譚的な作品かと思えば、さにあらずでした。作品全体が、中立的な視点で見られている映画であったこと。そして日本の貧しさや特殊な上下関係など細部まで描かれていたことは、語り継がれるべき作品に値する映画作品に仕上がっていたことが大変感銘しました。
この『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』、この二部作は戦争というものの「本質」を驚くほど端的な描写で、画期的なものだと思います。それゆえこれは二部作編成で製作されなければならなかったのだと思います。『父親たちの星条旗』は、簡潔にいうならば、戦勝国アメリカ兵の戦後までつきまとう戦場の隠される闇。そして『硫黄島からの手紙』からは生と死の狭間に落とされた兵たちの有様が描かれています。
たとえば、『父親たちの星条旗』の硫黄島での場面において、日本兵はほとんど姿をみせません。死体とか、無言のまま殺される程度でしかありません。それ以外の場面では、アメリカ兵たちに銃撃や砲撃をあびせる“見えない”脅威としてのとして存在で描いています。この『星条旗』では、まず日本兵を徹底して「〈顔〉を持たない存在」として描くことで日本兵を「敵」そのもの、ただ「憎悪と敵意」を向けるべきだけの相手として表出するのです。私の硫黄島プロジェクト1⃣『父親たちの星条旗』の感想で述べた、クリント・イーストウッド監督のリバタリアンの考え方が本作でも生かされていると感じました。
「私は自分を保守派だとは思っていないが、極左でもない。…私は、すべての人を放っておくというリバタリアンの考え方が好きなんだ。子供の頃から、他人の生き方を指図しようとする人たちにイライラしていたよ。」と[参考1]。また、「右翼でも左翼でもないくらいに個人主義的」とも言っています[参考2]。クリント・イーストウッド氏が初めて、歴史と国家という物に対して戦場という場を舞台として選び、映画人として生きてきてご自分なりの思いをぶつけた2作ではないかと感じます。
そして本作『硫黄島からの手紙』の舞台は、第二次世界大戦での硫黄島での決戦を日本側からの視点で描いています。当時、すでに、日本は、アメリカとの国力の差も歴然としていたことは知られており、太平洋全体はアメリカに侵略、硫黄島がアメリカの手に渡れば、敗北が確実となる危機的状況にありました。帝国陸軍中将の栗林忠道さんが、古来からある絶滅のおそれのある背水の陣ではなく、ゲリラ戦でアメリカ軍の予想以上の徹底抗戦にでたことは、個人的な推察ですが、少しでも時間を稼ぐことで一人でも生き延びれる可能性を探ったのではないかとも考察します。
この硫黄島という戦場に駆り出された日本兵もアメリカ兵の一兵卒まで、残してきた家族や仲間のもとに帰れないことを覚悟したことであったでしょう。栗林中将の「家族のためにここで死ぬまで戦うと誓ったのに、家族がいるから死ぬのを躊躇う自分がいる。」この一言は心がえぐられます…
この硫黄島の2部作を観ていると、自分の子供の頃からの思い出も重なり合ったりして言葉にならない思いがこみあげてきます。今回、あらためて視聴して思うのは、私は戦争体験者ではないけれど、9歳の子供のころに特攻隊から奇跡の生還を遂げた叔父のひざに抱かれ、祖父や叔父や叔母さんたちから告げられたこと、そして子供の頃に広島で自分の眼でみた戦争の傷跡は今でも、決して忘れることができません。
クリント・イーストウッドの映画はここで、戦争が悪であるとか、政治というものの無慈悲さを語っているのではないと感じます。そうではなく、戦争そのものの「本質」がいかに徹底して個人のすべてをないがしろにするものであることかを、哀悼の意を込めながらメッセージというより、そう告発しているのだと思います。今のこの時代でも戦争がおきて、個人が平然と潰されていっていることから眼をそむけてはならないと…
参考1: Dirty Harry is a Libertarian Archived 2009-08-17 at the Wayback Machine., History News Network.
参考2: “CLINTEASTWOOD.NET”. Clinteastwood.net. September 4, 2012。より参考引用
◆補足として、動画2本リンクしています。一本は大好きなクリント・イーストウッド監督のドキュメンタリーと、一本はABEMAドキュメンタリー【初告白】硫黄島の戦い 上官命令で1人帰還…玉砕前になぜ?旧日本兵の秘話です
▲クリント・イーストウッド:FILMMAKERS/名監督ドキュメンタリー<映画製作の舞台裏>「イーストウッド語られざる伝説」
ワーナー ブラザース 公式チャンネル
▲【初告白】硫黄島の戦い 上官命令で1人帰還…玉砕前になぜ?旧日本兵の秘話|ABEMAドキュメンタリー
お勧め度👍👍👍👍👍
お勧め度は作品の面白さ、仕上がり度、充実度などを👍1個2点✖5個で満点ですよ~
👉は1点
個人的な好みや主観もありますけどご参考までに
【本日のおすすめ作品「硫黄島からの手紙」と配信サイト】
★『硫黄島からの手紙』(2006年、アメリカ、140分、字幕)
★配信サイト
★映画観るなら<U-NEXT>
見放題
★Hulu 見放題
★Lemino 見放題
★NETFLIX 見放題
★配信状況など変更になることがあります。詳細は配信サイトにてご確認ください。
【硫黄島からの手紙:製作スタッフ】
監督:クリント・イーストウッド
脚本:アイリス・ヤマシタ
原案:アイリス・ヤマシタ、ポール・ハギス
原作:栗林忠道、吉田津由子(編)『「玉砕総指揮官」の絵手紙』
製作:クリント・イーストウッド、スティーヴン・スピルバーグ、ロバート・ロレンツ
製作総指揮:ポール・ハギス
出演者:渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童
音楽:カイル・イーストウッド、マイケル・スティーヴンス
撮影:トム・スターン
編集:ジョエル・コックス
製作会社:ドリームワークス・ピクチャーズ、マルパソ・プロダクション、アンブリン・エンターテインメント
配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
公開:日本 2006年12月9日、アメリカ合衆国 2006年12月20日
上映時間:141分
製作国:アメリカ合衆国
言語:日本語
製作費:$19,000,000[1]
興行収入:世界 $68,673,228[1]、アメリカ合衆国 カナダ $13,756,082[1]、日本 51.0億円[2]
[1] “Letters from Iwo Jima (2006)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2024年12月13日再閲覧より。
[2]“日本映画産業統計 過去興行収入上位作品 (興収10億円以上番組) 2007年(1月~12月)”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2024年12月14日再閲覧より。
★あらすじ・otacyanのメローな感想・考察など以外は配信サイト作品情報などから引用






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